多汗症(原発性腋窩多汗症・原発性手掌多汗症)
汗は体温調節や細菌・ウイルスの皮膚からの侵入を防ぐ自然免疫機能を果たす重要な働きをしています。頭部・顔面・手足・わきからでる汗の量が通常の人よりずっと多いため日常生活に支障をきたしている状態を多汗症といいます。
「紙に何かを書いていると紙が湿ってよれよれになって困る。いつも手拭きタオルを横に置いている」「わきの汗が多く冬でも衣服に汗じみができる」などの症状で悩んでおられる方は現在、わきと手の多汗症に対して塗り薬が使用できるようになっています。
多汗症の治療
●塩化アルミニウム溶液外用
塩化アルミニウム溶液はイオン化したものが皮膚の角層と結合することで皮膚の表面にふたをつくり、汗腺の出口をふさぐことにより汗の量を減らす治療です。手足やわきに使用可能です。刺激性があるため傷がある場所へは使用を控え、ひりつきや赤身が強く出る場合は使用を中止します。保険適応外治療です。
●外用抗コリン薬
原発性腋窩多汗症(原因がなくわきの汗が多い方)に対しソフピロニウムゲル、グリコピロニウムワイプが、原発性手掌多汗症にはオキシブチニン塩酸塩ローションが保険治療として使用できるようになっています。12才以上で外用部位に異常のない方が対象になります。
塗るタイプの治療薬です。頻度は低いのですが、かぶれなど副作用が出現する可能性があります。詳しい説明をした後、同意された方に使用します。閉塞隅角緑内障の方や前立腺肥大症で排尿障害がある方、妊婦・妊娠の可能性のある方、授乳中の方は使用できません。