アトピー性皮膚炎
日本皮膚科学会が作成したアトピー性皮膚炎診療ガイドラインではアトピー性皮膚炎は「増悪と軽快を繰り返す掻痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、多くはアトピー素因を持つ」と定義されています。
症状としては、皮膚のかゆみや赤み(湿疹)が良くなったり、悪くなったりを慢性的に繰り返します。慢性、反復性が認められることが重要です。多くの患者さんは皮膚が乾燥しやすい素因(ドライスキンと言われる皮膚バリアの障害)とアトピー素因(アレルギーを起こしやすい体質)を持っています。診断は皮膚の症状、年齢による皮疹の分布と経過、さらに家族歴をもとに行います。必要であれば検査をして確認します。
治療法
皮膚の乾燥を補う保湿剤によるスキンケア、湿疹の炎症を抑えるための外用ステロイド剤、タクロリムス(免疫調整剤)、デルゴシチニブ(JAK阻害薬)、ジファミラスト(PPE4)外用による外用療法に加え、かゆみの強い間は抗ヒスタミン剤内服も併用します。
外用薬は年齢や使用する部位、炎症の強さ、使用期間を考慮して選択します。
治療効果を最大限に発揮するためには適量の使用が必要です。当院では熟練したスタッフが適切な外用剤の使用量、使用方法について実際に塗りながら指導し、治療効果を高めるサポートをしています。
問診でアレルギーの関与が強く疑われる場合は悪化因子精査のため検査を行います。
軽症の方は基本の治療でコントロールが可能ですが、中等症から重症のアトピー性皮膚炎の方は十分な治療結果が得られないこともありました。現在、JAK阻害剤(バリシチニブ、ウパタシチニブ、アブロシチニブ)の内服、生物製剤(デュピルマブ、ネモリズマブ、トラロキヌマブ、レブリキズマブ)の注射剤が使用できるようになっており満足のいく治療結果がでるようになっています。
安全に使用できるか事前検査を行う必要があります。以前は総合病院の受診が必要でしたが、近隣クリニックのご協力をいただき当院で検査できる体制を整えています。